いよいよ消費税が10%へ増税となりましたね。
消耗品などのまとめ買いはできましたでしょうか?笑
さて今回は、直接消費税増税とは関係ありませんが、消費税増税により非課税限度額が拡充された「住宅取得等資金贈与の非課税」について解説していきたいと思います。
Contents
住宅取得等資金贈与の非課税とは
直系尊属からの資金贈与が一定額まで非課税となる
働く社会人の中には、マイホームを持つという夢を掲げている方も多いかと思います。
しかし家というのは人生最大の買い物とされるように、多額の資金が必要となりますので、家を購入された方の中には親の援助などを受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
通常、人から人へ物や金銭を渡す場合、高価なものやその金額が大きいと「贈与税」が課されることとなります。
しかし、現在は『住宅取得等資金贈与の非課税』という制度があり、以下の要件を満たした場合には一定額の贈与まで贈与税が非課税となります。
- 贈与を受ける受贈者が20歳以上である
- 平成27年1月1日から令和3年12月31日の間に贈与を受ける
- 直系尊属(親や祖父母)からの贈与である
- 贈与された資金を自己の住宅等の取得に充てる
この制度をうまく使うことで、贈与税をかけずに親や祖父母からの援助を受けることができます。
非課税限度額はいくら?
『住宅取得等資金贈与の非課税』制度で認められている贈与税の非課税枠は下表のとおりです。
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ住宅 | 左記以外の住宅 |
~平成27年12月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成28年1月1日~令和 2年 3月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
令和 2年4月1日~令和 3年 3月31日 | 1,000万円 | 500万円 |
令和 3年4月1日~令和 3年12月31日 | 800万円 | 300万円 |
※省エネ住宅とは、省エネ等基準に適合する住宅用の家屋のことをいいます。
さらに、消費税の増税に伴いこの非課税限度額の拡充が行われました。
2019年10月以降は非課税限度額が拡充
10月からの消費税増税に伴い、当然ながら住宅の価格も消費税率が8%→10%へと引き上げられます。
この増税により住宅取得の冷え込みが当然に予想されます。
この冷え込みへの対抗策として、『 住宅取得等資金贈与の非課税 』制度における贈与税の非課税枠が拡充されました。
住宅等の価格において消費税率10%が適用される場合の非課税枠は下表のとおりです。
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ住宅 | 左記以外の住宅 |
平成31年4月1日~令和 2年 3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和 2年4月1日~令和 3年 3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
令和 3年4月1日~令和 3年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
ちなみに、平成31年4月から増税前までに契約の締結をしたとしても、完成・引き渡しが増税後となると消費税率は10%が適用されるため、上の表では契約の締結日が平成31年4月1日からとなっています。
制度を適用する上での注意事項
この『 住宅取得等資金贈与の非課税』ですが、適用できれば贈与税を大幅に節税できるため、これから家を購入しようとしている方は是非とも適用を検討いただきたいですが、最後に適用する上での注意事項をいくつかまとめておきます。
非課税枠内でも申告が必要
この制度を受ける場合、上の表にある非課税枠内の資金贈与を受けて贈与税が0円となる場合でも、税務署に申告が必要となります。
例えば、令和1年11月に親から資金援助2,000万円を受けて住宅を取得した場合(消費税率は10%とします)上の表では非課税枠は3,000万円ですので贈与税はかかりませんが、これについての申告は行わなければなりません。
申告を行わない場合、この非課税枠が適用されませんので注意が必要です。
複数人から贈与を受けた場合
次に、複数人から贈与を受けた場合ですが、この非課税枠はあくまで受贈者側に決められた枠ですので、複数人から贈与を受けた場合はこの金額を合算して非課税枠内かどうか判断する必要があります。
これも例をあげると、非課税枠が3,000万円で自分の父親と祖父からそれぞれ2,000万円ずつ資金贈与を受けた場合、贈与者の贈与額は各々
3,000万円>2,000万円
となりますが、あくまで非課税枠は受贈者に定められていますので
3,000万円<2,000万円+2,000万円=4,000万円
となりますのでこの枠を超えた1,000万円については贈与税の対象となってしまいます。
住宅ローン控除を併用する場合
最後に、住宅ローン控除と併用する場合です。
住宅ローン控除は、住宅を取得する際に組んだ住宅ローンの残高に応じて所得税・住民税が減額される制度ですが、この減額される税額を計算する際に、「住宅の取得価額等」から資金贈与を受けた金額を差し引く必要があります。
この計算誤りについては、すでに1万件以上発覚しているそうですので、間違いやすい項目として気を付ける必要があります。
まとめ
消費税が増税となって消費の冷え込みが懸念されていますが、今回解説しました『住宅取得等資金贈与の非課税』のような優遇税制をうまく使うことで支出を減らすことができます。
これからマイホームを建てたい!と思われている方はぜひともこの制度の活用を検討いただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。