前回はFXでの収入が年末調整の対象になるのかどうかについて書いてみましたが、今回からは確定申告について書いていきたいと思います。
今年も残すところあと1か月ほどとなりました。年が明けたら確定申告をしなければならないトレーダーの方もたくさんいらっしゃるかと思います。
しかし、確定申告を行う前、年を越す前にやっておくべきことがあります。
今回は年を越す前にやっておくべきことと題して、年内にトレーダーがやっておかなければならないことについて解説していきます。
年を越す前にやるべきこと
ポジション決済の検討(今年の損益状況を確認する)
まずは今年のご自身のトレード損益を振り返りましょう。
損失が出すぎて振り返るのが嫌だ?という方も中にもいらっしゃるかと思いますが、そういう方ほど来年に向けての振り返りが重要ですね。
さて、現行の所得税法ではFXで得た収益は「雑所得」に該当します。
そして、国内の証券口座での取引に限りますが、分離課税の対象となり出た損失は3年間繰り越すことができます。
つまり、例えば2019年に出してしまった損失は2022年までに利益を出せば相殺してその年の所得税を減らすことができるということになります。
ここで一点注意が必要ですが、確定申告で申告の対象となるのは「確定損益」となります。
「含み損益」の段階では申告の対象とならず、あくまで税計算は確定損益をベースに行います。
ですので、今年の損益状況は確定損益に限定して確認する必要があります。
さて、損失を相殺できるとはいっても来年以降FXで利益を得ることができるかどうかは不確定事項ですので、なるべく年内に今年の損失を減らしておきたいですよね。
もし仮に今年の収益がマイナスで、現在含み益のあるポジションを持っているトレーダーの方がいたら、そのポジションを決済して今年の損失を減らすor利益に転じさせることを検討する必要があります。
また逆に、今年の収益がプラスで、現在含み損を抱えているトレーダーの方がいたら、そのポジションを決済して利益を減らすことで税金を減らし、新たな気持ちで2020年を迎えるというのも手かと思います。
なので、現在の自身の損益状況・ポジションの保有状況を整理してどうしたら税金をうまく減らすことができるか、来年の取引をスムーズに始められるかを年内に検討する必要があります。
経費の整理
FXで得た収益に対する所得税を減らす方法としては、経費を計上するということも考えられます。
雑所得の申告では、収益を得るために必要となった経費(これを必要経費と呼びます)はその収益から差し引くことが認められています。
なので、FXで得た収益についても経費を計上することで利益額を減らして所得税を減らすことができます。
一般的にFX取引で発生する経費としては、
- 取引のために購入したパソコン代
- インターネット料などの通信費
- FX講座などのセミナー受講費
- セミナーを受けるためにかかった交通費
- 事務所などでトレードを行っている場合の家賃、水道光熱費
- FXに関する書籍代
- 証券会社に支払った手数料
などが挙げられます。
今年の収益がプラスの方は、これらの経費で年内に追加で発生させることができるもの(例えば新しい本がほしいとか)があれば年内に発生させることで利益を減らすことができます。
また逆に、今年の収益がマイナスの方でこれから発生する経費がある場合には 、その発生を来年に持ち越すことで今年の損失を増やすことがなくなります。
また、来年に経費を持ち越すことでその経費分の損失は繰り越し期間を1年先延ばしにできますしね。
ですので、この経費ついても今年の損益状況を踏まえて、年内に発生させるべきかどうかを検討する必要があります。
もちろん、レシートなどの証拠書類はそろえておいてください。
まとめ
今回はFXトレーダーが年内に検討すべき事項について触れてみました。
ここからの1か月はあっという間に過ぎてしまうかと思いますので、今回書かせていた事項を年を越す前に今年のトレードを振り返る意味も込めて実施していただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。