今回から数回にわたって、事業承継税制(贈与特例)の実務について徹底的に解説していきたいと思います。
事業承継税制がどのような税制についての情報はネットにあふれていますが、実務となるとなかなか情報が出てきません。
納税の猶予を受けられれば負担がかなり軽減されますが、その手続きはかなり手間がかかります。
そこで、実際に事業承継税制の適用を考えている方向けにどんな手続きをすればいいのかを解説していきます。
第一回目は「特例承継計画」編になります。
・特例承継計画作成の方法
・作成するにあたっての注意点
Contents
事業承継税制の第一歩は特例承継計画の提出
特例承継計画とは?
さて、事業承継税制による納税の猶予を受けるためには大きく分けて2つのステップがあります。
それは
①都道府県知事の認定
②税務署への申告
です。
今回解説する「特例承継計画」はステップ①の一番初めに必要となる手続きです。
この「特例承継計画」は、納税の猶予を受ける会社の後継者が、「いつごろ株式を承継するのか」「承継までの経営の見通しはどうか」「承継後5年間の事業計画はどうか」といったことを記載する書類になります。
いつまでに提出すればいい?
「特例承継計画」の提出期間は2018年4月1日から2023年3月31日までの5年間となります。
納税の猶予の適用期限は2027年12月31日までですが、適用の前提となる「特例承継計画」の提出期限は5年も早く到来するため注意が必要です。
ちなみに、納税の猶予を受けるかどうか悩んでいる方もいらっしゃるかと思いますが、そんな方はとりあえず「特例承継計画」だけでも提出しておくことをおススメします。
「特例承継計画」を提出したからといって、必ずしも納税の猶予を受けなければならないわけではないからです。
受けるか受けないかわからないときは、とりあえず期限が到来する前に出しちゃいましょう!
特例承継計画の作成
書面の作成方法
では、ここからは特例承継計画を作成する手順を解説します。
特例承継計画の様式は中小企業庁のHPにありますので、そこからダウンロードしましょう。
ダウンロードページはこちら(中小企業庁のHPへジャンプします)
ワードファイルをダウンロードして、必要事項を記入していきましょう。
記載例も掲載されていますので、参考にするとスムーズに作成が可能です。
別紙は認定経営革新等支援機関に依頼しましょう
さて、確認書については記載例を参考にすれば問題なく作成ができたかと思います。
あとは、別紙として「認定経営革新等支援機関(以下、認定支援機関とします。)による所見等」を作成する必要があります。
認定支援機関って何?
認定支援機関とは、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う機関のことです。
認定支援機関は一番身近なところで言うと税理士事務所が挙げられます。
もし、税理士と顧問契約をしているのであればその事務所が認定支援機関に該当するかどうか聞いてみましょう。
身近に認定支援機関が見つからない場合は、中小企業庁に機関の一覧が掲載されていますのでそちらを参考にしてください。
認定支援機関の一覧はこちら(中小企業庁のHPへジャンプします)
認定支援機関に依頼すればこの別紙は作成してもらえます。
申請書類一式の提出
さて、特例承継計画を一式作成できたらいよいよ提出です。
提出先は都道府県によって異なりますので注意してください。
また、添付書類として会社の履歴事項全部証明書(いわゆる謄本)と返信用封筒が必要です。
無事受領されて認定がおりれば、後日認定通知書が届きますのでこれにて第一ステップは完了になります。
まとめ
・特例承継計画とは事業承継税制適用の第一歩!
・特例承継計画は比較的簡単に作成でき、事業承継税制の適用を考えている事業者はとりあえず提出しよう!
今回は事業承継税制のはじめのステップである特例承継計画について解説しました。
納税猶予の恩恵を受けるためにはまだまだ先は長いですが、とりあえず適用の悩んでいる事業者の方は是非とも提出の検討をしていただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。